「協力」という言葉を、じっと見てみました。
「協」の右側には、見た目では「力」が三つ並んでいます。
そこに「協力」と続けると、さらにもう一つ「力」が加わる。
合わせて、力が四つ。
二文字なのに、ずいぶん力を使う言葉です。
そんなことを考えているうちに、今度は字の形ではなく、私たちが普段使っている「協力」という言葉そのものが気になってきました。
協力するなら、同じだけ力を出す?
「協力」と聞くと、私はまず、一つの目的に向かって、みんなで力を合わせる姿を思い浮かべます。
でも、本当に全員が同じだけの力を出す必要があるのでしょうか。
10の力を出せる人もいる。
今日は2しか出せない人もいる。
得意なことも違えば、使える時間や体力、経験も違います。
もし「協力」が、全員が同じ量の力を出すことだとしたら、かなり窮屈なものになってしまいます。
私はむしろ、
それぞれが出せる力を、同じ目的に添えること。
それも協力なのではないかと思います。

同じことをしなくてもいい
役割についても同じです。
ある人は人前で話す。
ある人は資料を作る。
ある人は連絡をする。
ある人は当日の裏側を支える。
全員が同じことをしているわけではありません。
むしろ、違うことをしているからこそ、一つのことが動いていく場合もあります。
協力とは、みんなが同じになることではなく、
違う力を持ち寄ること
なのかもしれません。
「ご協力をお願いします」という協力
ところで、「協力」にはもう一つ、よく使う形があります。
「ご協力をお願いします。」
これは、最初からみんなで一緒に始める協力とは、少し違います。
すでに目的を持っている側がいて、
「力を貸してください」
とお願いする形です。
しかも、この「ご協力をお願いします」は、かなり幅広く使われています。
イベントへの参加をお願いする時にも使います。
アンケートへの回答をお願いする時にも使います。
一方で、
「ここには入らないでください」
「時間を守ってください」
「ルールに沿ってください」
という内容にも、「ご協力ください」と言うことがあります。
同じ「協力」でも、
一緒に取り組むこと。
誰かを支えること。
頼まれて力を貸すこと。
要請に応じること。
ずいぶん違う関係が、一つの言葉の中に入っています。

「協力」は、いつも対等なのだろうか
ここまで考えると、もう一つ疑問が出てきます。
協力する人たちは、いつも対等なのでしょうか。
みんなで目的そのものを決める協力もあります。
一方で、誰かが決めた目的に、ほかの人が力を貸す協力もあります。
もちろん、どちらが良い、悪いという話ではありません。
誰かに助けを求めることも必要ですし、頼まれて力を貸すことも、社会の中では欠かせません。
ただ、同じ「協力」という言葉を使っていても、
誰が目的を決めたのか。
誰がどんな力を出しているのか。
断ることができるのか。
そこまで眺めてみると、その中にある関係はずいぶん違って見えます。
一つの言葉の中に、いくつもの関係がある
「協力」という言葉は、一見すると、とても分かりやすい言葉です。
みんなで力を合わせる。
けれど、少し立ち止まってみると、
同じ力を出さなくてもいい。
同じ役割でなくてもいい。
自分から始める場合もあれば、頼まれて参加する場合もある。
一つの言葉の中に、いろいろな人と人との関係が入っています。
だから「協力」という言葉がおもしろいのかもしれません。
協力とは、同じになることではなく、違う力が一つのところへ集まること。
そう考えると、「力が四つもある」とツッコんだあの二文字も、少し違って見えてきます。
あなたにとって「協力」とは、どんな人と、どんな力を持ち寄ることでしょうか。

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